パノラミックビューモニターは、フロントグリル、左右ドアミラー下部、リヤゲートの合計4基に配置された超広角(魚眼)カメラの映像を、車載コンピューター(ECU)が瞬時にデジタル補正・幾何変換し、1枚の継ぎ目のない画像として合成・表示する仕組みです。しかし、物理的な光学カメラを組み合わせている以上、原理的に排除できない死角が存在します。
最も警戒すべきは、「前後左右のカメラ映像が重なり合う斜め4箇所の境界線(スティッチングエリア)」です。各カメラの画角端をソフトウェアで歪み補正してブレンドしているため、境界線付近に存在する細いポールや縁石、小さな子供などが、映像の継ぎ目に吸い込まれるように消失したり、極端に歪んで表示されたりする「ブラインドスポット現象」が発生します。
さらに、カメラの高さよりも上にある障害物(突き出た看板やトラックの荷台など)は、俯瞰合成のアルゴリズムによって外側へ倒れ込むように引き伸ばされて描写され、実際の距離感が掴めなくなる危険性があります。「画面上ではまだ余裕があるように見えたのに、バンパー上部の障害物に接触した」というトラブルの多くは、この立体物の歪み特性を正しく理解していないことから生じています。