重大事件が報道されるたびに、SNSや匿名掲示板では外国人殺人事件に対するネットの反応が過熱し、特定の国籍に対する排外的な言説が急速に拡散する現象が常態化しています。「即座に強制送還すべきだ」「外国人の受け入れを全停止しろ」といった極端な意見が目立つ一方、現場取材で見えてくるのは加害者と被害者が表裏一体となった痛ましい構造です。
実際には、外国人被害者による殺人事件の経緯を追うと、日本国内で最も弱い立場に置かれた外国人労働者が同胞や悪質なブローカーの犠牲になっている現実があります。劣悪な労働環境から逃げ出し、不法滞在となった弱みを握られて犯罪組織に搾取された末、口封じや見せしめのために命を奪われるケースです。
公の場で見せた遺族の嗚咽や、法廷の手記で語られた「日本で技術を学び家族を養いたかった」という無念の言葉は、ネット上の単純化された善悪二元論では決して測ることができません。凶悪犯罪者を厳しく処罰することと、在留外国人が巻き込まれる構造的暴力を是正することは、明確に区別して議論されるべき課題です。