動物園関係者が口を揃えて語るのは、「協定の資金支払い以上に、日々の管理維持コストが重くのしかかる」という現場の厳しさです。
パンダの消化器官は肉食動物に近く、植物である竹の繊維を約2割しか消化・吸収できません。そのため、成獣1頭あたり毎日15〜20キログラム以上の新鮮な竹を消費します。偏食が激しく、少しでも古くなったり香りが飛んだ竹は口にしません。飼育現場では伊豆半島や千葉、関西近郊から毎週数回トラックをチャーターして生竹を直送しており、エサ代だけで年間1,000万〜1,500万円が吹き飛びます。
さらに見落とせないのが空調管理です。冷涼な高山地帯に生息するパンダにとって、日本の猛暑は生命の危機に直結します。展示室および寝室は24時間365日、室温を約18〜20度にキープし続ける必要があり、昨今のエネルギー高騰下では莫大な電気代が発生しています。
こうした実情に対し、都民やネットコミュニティでは賛否両論が交錯してきました。
「自治体の税金を使ってまで外国へ大金を支払う必要があるのか」「外交の道具に高額な公費を使うべきではない」という批判的な声は、区議会や都議会の場でも定期的に取り沙汰されます。しかし一方で、「パンダ舎があることで上野周辺の商店街や鉄道、ホテルに落ちる収益は桁違い」「恩賜上野動物園の入園料(一般600円)という破格の安さで世界的研究に触れられる社会的価値は計り知れない」という擁護論も根強く存在します。