「六坊担担面」の大きな特徴であり、リピーターを虜にする要素が「辛さ(唐辛子)」と「痺れ(花椒)」をそれぞれ個別に選べるオーダーシステムです。食券を店員に渡す際、0から5までのレベルを指定する仕組みとなっています。
ここで初心者が陥りがちなのが、「普段から辛いものが得意だから」と初手からレベル3や4を指定してしまうミスです。六坊担担面で使用されている四川花椒は極めて上質かつフレッシュで、揮発性の刺激成分であるヒドロキシ-α-サンショオールがダイレクトに神経を刺激します。唐辛子のカプサイシンによる灼熱感と花椒の麻痺感が合算されると、スープの底にある出汁の旨味や胡麻の甘味を感知できなくなる危険性があるのです。
現場取材と多数の実食レビューから導き出された、最も推奨される組み合わせは「辛さ2・痺れ2」のデフォルト設定です。このバランスこそが、渡辺樹庵氏の緻密な計算による「タレのコクとスパイスの覚醒感」を最も美しく味わえる黄金比にほかなりません。もし少し刺激を強めたい場合でも、「辛さ3・痺れ2」のように片方だけを1段階引き上げるステップを踏むのが、失敗しない大人の作法です。