渡辺裕之という役者の名が世に轟いたのは、1982年公開の大型戦争大作映画『大日本帝国』だった。東映が総力を挙げて制作した同作で颯爽とスクリーンデビューを飾り、その鍛え上げられた肉体と端正な顔立ち、そして新人らしからぬ堂々たる演技で一躍注目の的となった。鍛え抜かれたフィジカルは、当時の邦画界に新鮮な衝撃を与えた。
その後、1980年代から90年代にかけて彼は日本映画界におけるアクションスターとしての地位を揺るぎないものにしていく。高視聴率を誇ったCMで見せたパワフルなイメージそのままに、ダイナミックなアクション映画で主演や重要キャストを歴任。スタントなしの体を張った演技は、スクリーン越しの観客を熱狂させた。
さらに、1990年代に百花繚乱の時代を迎えたVシネマの現場においても、渡辺裕之の存在感は際立っていた。タフでアウトローな男たちから心優しき漢までを演じ分け、Vシネマ黄金期を強力に牽引。予算やスケジュールの限られたハードな撮影現場でも決して妥協しない姿勢が、多くの監督やスタッフから絶大な信頼を集めた。