裏社会の冷酷な権力闘争を描く緻密なクライムサスペンスでありながら、本作の神髄はむしろ泥臭いヒューマンドラマにある。欲望と裏切りが渦巻く街で、人々が何を守り、何を捨てて生きていくのか。単純な善悪の二元論では割り切れない人間の业(ごう)が、苛烈なまでのタッチで紡がれる。
張り巡らされた伏線、裏の裏をかく裏切り、そして不意に訪れる哀愁。先の読めない展開が連続するストーリーラインは、一秒たりとも目が離せない緊張感を維持し続ける。重厚な人間ドラマの深みが、アクションや事件の凄惨さをより際立たせているのだ。