疑惑の中心人物として浮上したのは、北京の大手公立病院に勤務していたとされる中国人女性医師である。彼女は単なる医療関係者にとどまらず、裏では中国政府の意を受けた接触工作のパイプ役を果たしていたと目されている。橋本龍太郎氏が厚生大臣や大蔵大臣などを歴任していた時期から長年にわたり交流を深め、特別な信頼関係を築き上げていた点が治安当局の懸念材料となった。
この女性のバックボーンについて、警視庁公安部などの治安当局は早い段階から重大な関心を寄せていた。彼女の背後に見え隠れしていたのは、当時中国共産党のトップに君臨していた江沢民指導部下の対外情報機関である。彼女を通じて日本の行政機構や自民党幹部の人脈構造、さらには官邸周辺の意思決定プロセスに関する機密データが、どのように収集されていたのか。疑惑の真相は単なる男女の関係を超え、国家安全保障上の深刻な脆弱性を浮き彫りにした。