警察組織におけるダイバーシティの推進に伴い、女性警察官の当直勤務のあり方も大きな転換期を迎えています。かつては宿直室のセキュリティやシャワー設備などのハード面が未整備だったため、女性警察官の宿泊当直が免除・制限されていた時代もありました。しかし警察庁が女性採用比率の引き上げを強力に推進した結果、署内の施設改修が進み、現在では性別を問わず平等に当直シフトへ組み込まれるのが当たり前となっています。
とりわけ夜間の性犯罪被害者支援や、女性被疑者の身体捜索・留置場護送業務など、女性警察官の存在が不可欠な場面は激増しています。過酷な夜間労働を担う現場からは「設備面のプライバシーは向上したものの、当直と育児・家庭との両立支援制度を実質的にどう運用するか」という新たな課題が突きつけられています。
さらに警察官の私生活を大きく制約しているのが、警察当直の呼び出し基準です。警察官には「非常招集」と呼ばれる緊急呼び出し規定が存在します。管内で殺人事件や震度5強以上の地震、大規模水害などが発生した場合、非番や公休であっても「1号非常招集」「2号非常招集」といった区分に応じて、指定時間内に警察署へ駆けつけなければなりません。この基準があるため、非番や休日の過ごし方にも厳密な制限が課され、管外への私的旅行には事前の許可申請が求められ、飲酒に関しても「有事の際に運転や判断ができる状態を維持する」という暗黙の戒律が重くのしかかっています。