彬子さまへの注目が爆発的に高まった最大の起爆剤は、2024年に文庫化された留学記『赤と青のガウン オックスフォード留学記』(PHP文庫)の記録的なベストセラー化です。単行本刊行から時を経て文庫化されるやいなや、SNS(旧Twitter等)で「皇族が書かれたとは思えないほど面白く、声を出して笑った」「英国での泥臭い奮闘に勇気をもらった」と読書アカウントを中心に口コミが急速に拡散しました。
出版関係者のデータによると、文庫版の発行部数は累計30万部を突破。皇族による著書としては異例中の異例となる数字を記録しています。読者を惹きつけたのは、雲の上の存在と見なされがちな皇族の日常に潜む、あまりに人間味あふれるエピソードの数々でした。側衛(皇宮護衛官)をまいてひとりで街へ出ようとした試みや、空港の出入国審査でパスポートに苗字がないため別室へ連行されそうになった体験、オックスフォードの古い寮で暖房が故障し凍えそうになりながら論文を執筆した日々など、飾らない筆致でユーモラスに描かれています。
メディアでは長年、式典での厳かな立ち居振る舞いや公務の様子ばかりが報じられてきました。しかし読者が知ったのは、理不尽な環境にもユーモアを忘れず、ひとりの留学生として真正面から課題に立ち向かう自立した女性の姿です。「遠い皇室」と「私たちの日常」を卓越した文章力で軽やかにつないだことこそが、現在の彬子さまブームの核心にあります。