城での時間が終わりを迎える際、提示された絶対のルールは「願いの鍵を使って城を出れば、城で過ごした記憶はすべて消去される」という過酷なものでした。仲間を救うために鍵を使ったこころたちは、現実世界に戻ればお互いの名前も、共に過ごしたかけがえのない時間も忘れてしまう運命にありました。
しかし、物語のラストシーンにおいて、そのルールを超越する奇跡が描かれます。中学校2年生の始業式、学校へ復帰したこころの前に現れた転校生こそが、ハワイ留学から帰国したリオンでした。リオンはこころを見つめ、「はじめまして」ではなく、確信に満ちた笑顔で声をかけます。これは、オオカミさまに対してリオンが最後に託した「こころの記憶だけは残してほしい」という願いに対し、彼女が「善処する」と応えた約束が結実した瞬間でした。
原作小説の行間や劇場アニメ版のエンドクレジットで描写された通り、リオンは完全にすべての出来事を忘却したわけではなく、こころという存在と彼女を助けたいという強い感情を魂のレベルで保持していました。一方のこころ側も、明確なエピソード記憶こそ失われていたものの、胸に残る温かな勇気と「一人ではない」という確信を胸にリオンを迎え入れており、二人の絆が現実世界で再び結ばれたことは明白な事実として描かれています。