「inゼリー」の成功を語る上で欠かせないのが、1990年代後半から2000年代にかけて放映されたインパクト絶大なテレビコマーシャル群です。とりわけ「10秒チャージ、2時間キープ」というキャッチコピーは、当時の日本のビジネスパーソンや学生のライフスタイルに強烈なパラダイムシフトをもたらしました。
木村拓哉さんをはじめ、嵐の櫻井翔さんなど時代のトップアイコンを起用したCMでは、オフィスを疾走しながらパウチを吸い込む姿や、過密スケジュールを縫ってエネルギーを充填するスタイリッシュな姿が描かれました。それまで「栄養補給=瓶入りの滋養強壮ドリンクを飲む中高年男性のもの」という固定観念があった市場に対し、「手軽でスマートな新しい食事形態」としての地位を確立したのです。
このプロモーション戦略は、後のタイムパフォーマンス(タイパ)重視の消費行動の先駆けとなり、現代におけるファストフードや完全栄養食ブームの土台を築いた文化的事象としても評価されています。