境内を歩くと、ただならぬ歴史の重みが足元から伝わってくる。主祭神として祀られているのは、第十五代の応神天皇。そして相殿には、平家の武将として知られる平景清が祀られている。壇ノ浦の戦いの後、源氏の世を見たくないと自ら両眼をえぐり取ったという凄烈な伝説は、今も語り草だ。
神社本庁に名を連ねる無数の神社の中でも、これほど明確に「目」にまつわる伝承が息づく場所は極めて珍しい。武士の矜持と無念、そして光への渇望。その魂がこの地に鎮まり、いつしか人々の目を癒やす神として信仰を集めるようになった。歴史の哀歓が、深い祈りへと昇華された証左といえる。