谷村新司にとって「旅」は永遠のテーマだった。かつてアリス (フォークグループ)のリーダーとして疾走感あふれるサウンドで時代を牽引した彼は、ソロ活動を通じて日本の心象風景をより深く掘り下げる道を選んだ。その先駆けとなったのが、国鉄のキャンペーンソングとして山口百恵に提供された『いい日旅立ち』である。
日本のフォークからニューミュージックへと移り変わる激動の時代にあって、彼のメロディは常に鉄道と深い親和性を持っていた。鉄路が引かれた土地の歴史、すれ違う人々の息遣い、そして別れと再会のドラマ。ニューミュージックの旗手として研ぎ澄まされた感覚は、『三都物語』において円熟の極みに達することになる。