彼女の最大の強みは、日常の温もりを描くヒューマンドラマから、張り詰めた心理戦が展開するサスペンスまで、ジャンルを問わず作品の屋台骨になれる柔軟性だ。市井の人々のささやかな日常を切り取る時、彼女はどこにでもいる親しみやすい女性になる。一方で、罪や秘密を抱えたサスペンスの渦中では、底知れない影を背負った孤独な魂へと変貌を遂げる。
この振れ幅の大きさは、徹底した観察眼と、役柄に対する深い敬意から生まれている。自分がどう見られるかではなく、その人物がその世界でどう息をしているか。芝居におけるエゴを捨て去る潔さがあるからこそ、あらゆる物語のトーンにしなやかに同化できるのだ。