こうした誘惑と背信のスパイ工作は、エンターテインメントの世界でも絶大な人気を誇るテーマだ。名作『007 ロシアより愛をこめて』では、冷戦下のイスタンブールを舞台に、美しき暗号係を囮にした甘美で危険な情報戦が描かれ、世界中の観客を魅了した。
一方で、近年の映画『レッド・スパロー』は、国家の命により身体と心理を武器として仕込まれる工作員の残酷な現実をリアルかつ痛烈に描写し、スクリーン上のロマンとは一線を画す冷酷な裏社会を浮き彫りにした。
今日、NetflixやHBO Maxをはじめとする動画配信プラットフォームでは、過激なスパイ・サスペンスのドラマ作品だけでなく、元工作員やジャーナリストの証言に基づいたドキュメンタリー・ノンフィクションが数多く制作されている。フィクションの派手なアクションの裏側には、現実に存在する冷酷な諜報活動の手法と、それに巻き込まれた人間の悲惨な末路がリアルに記録されている。