現場職人の間では時折、「解体工事施工技士なんて、毎日現場で重機を動かしていれば勉強しなくても受かる」といった豪語が飛び交います。しかし、試験実施機関である公益社団法人全国解体工事業団体連合会(全解工連)が公表しているデータや過去の試験結果を客観的に精査すると、その認識がいかに危険かが浮き彫りになります。
近年の解体工事施工技士の合格率は、例年50%〜60%前後で推移しています。数字だけを見ると「2人に1人以上が受かる平易な試験」に見えるかもしれません。ですが、ここには大きな統計のトリックが潜んでいます。本試験はそもそも、所定の学歴に応じた数年以上の解体工事施工技士の実務経験を満たした実務者しか願書を出すことすらできません。つまり、現場経験ゼロの素人がふるい落とされた「現場のプロだけが受けて約半数が不合格になる」という構造です。
ネット上の口コミや知恵袋でも、「施工計画や分別解体の手順を現場の感覚だけで書いたら不合格になった」「労働安全衛生法や廃棄物処理法の条文が正確に出てこなかった」という不合格者の反省が数多く寄せられています。近年の解体現場では、石綿(アスベスト)の事前調査・除去義務の厳罰化、フロン排出抑制法、建設リサイクル法など、環境・安全法令への準拠が極めてシビアに問われます。体で覚えた現場の慣習だけでは解けない問題が確実に増えており、「無勉強で突破できる」というのは過去の牧歌的な時代の都市伝説に過ぎません。