ここ数年で外食産業の勢力図を大きく塗り替えたのが、いわゆる「とじないカツ丼」の台頭だ。従来の「カツを出汁で煮て卵でとじる」というお決まりのプロセスをあえて解体。丼飯の上にふわとろのスクランブルエッグ状の卵を敷き、その上に揚げたてサクサクの極厚とんかつを大胆にのせるスタイルである。
衣のクリスピーな食感を最後の一口まで保ちつつ、豚肉本来の旨味をダイレクトに舌へ届けるこの手法は、食べログなどのレビューサイトでも瞬く間に高評価を連発し、一大トレンドへと成長した。トラディショナルな煮込み型と、クリエイティブな非煮込み型。双方が互いの魅力を引き立て合いながら、東京の丼シーンに豊かなグラデーションをもたらしている。