インターネットの検索窓に楽曲名を入力すると、頻繁に関連検索ワードとして現れるのが「ウイスキーがお好きでしょ 作曲 宇崎竜童」や「ウイスキーがお好きでしょ 作詞 湯川れい子」という組み合わせです。知恵袋やまとめサイトの一部でも真しやかに語られることがありますが、これは明らかな事実誤認です。
本楽曲の真のクレジットは以下の通りです。
- 作詞:田口俊(たぐち しゅん)
- 作曲:杉真理(すぎ まさみち)
- 編曲:宮川泰(みやがわ ひろし)
シティポップの旗手として知られるビートルズフリークのメロディメーカー・杉真理と、プリンセス プリンセスなどのヒット曲を手掛けた作詞家・田口俊という、生粋のニューミュージック・ポップス畑の巨匠たちによって産み落とされた楽曲なのです。
では、なぜ「作曲:宇崎竜童/作詞:湯川れい子」という誤解が広まったのでしょうか。広告・音楽メディアの分析からは、主に2つの心理的要因が浮き彫りになります。
第1に、歌唱者である石川さゆりのキャリア背景です。石川さゆりは1980年代以降、宇崎竜童・阿木燿子夫妻とタッグを組んで数多くの歌謡曲・ロック調の実験作を発表してきました。石川さゆりが大人の色気を漂わせる楽曲を歌うと、大衆の記憶庫から「宇崎竜童サウンド」が自然と想起されてしまうバイアスが存在します。
第2に、湯川れい子が手掛けた数々の洋楽的ジャズ歌謡のイメージです。大人の夜の酒場、ウイスキーグラス、洒脱な言い回しといった記号が、作詞家・湯川れい子の代表的作風と重なり、ネット上の誤った口コミや未確認情報の拡散によって混同されたと推測されます。