額面年収が880万円前後であっても、銀行口座に実際に振り込まれる金額は大きく目減りします。日本の累進課税制度、社会保険料、共済年金の控除を差し引いた准教授手取りの現実を年代別に整理します。
熾烈な競争を勝ち抜いて早期昇進を果たした准教授年収30代の場合、額面年収はおよそ720万〜800万円が相場です。実際の准教授給与明細を紐解くと、基本給に地域手当などを加えた月額総支給は45万〜50万円程度となります。そこから所得税・住民税・共済組合保険料が差し引かれ、月々の手取り額は約34万〜38万円にとどまります。ボーナスで年間約140万〜160万円の手取りが加算される計算ですが、30代は博士号取得までに投じた奨学金の返済を抱えている研究者も多く、生活に贅沢な余裕はありません。
脂の乗ったキャリア期である准教授年収40代では、額面年収は850万〜950万円へと上昇します。月額総支給は55万〜60万円規模に達するものの、税率が跳ね上がるため手取り額は約40万〜45万円となります。ボーナスの手取り約160万〜180万円を合算した年間実手取り額は、およそ640万〜700万円前後です。
40代は子どもの教育費(私立中学受験や大学進学)や住宅ローンの返済が重なる時期です。加えて、自身の研究に必要な専門書やPC関連機器、学会の年会費(複数所属で年10万円超)、国際学会の渡航費や論文投稿料(APC:数十万円規模)などを、獲得した研究費(科研費など)でカバーしきれず「自腹」で支払う事例が後を絶ちません。結果として、一般企業の課長クラスと同等以上の額面を得ていながら、可処分所得の感覚は「常にカツカツである」という証言が多くの研究室から寄せられています。