コミュニケーションのデジタル化やチャットツールの普及に伴い、言葉の末尾に対する受け手の感度はむしろ先鋭化しています。大手ビジネススクールや人材育成機関が実施した社内アンケート調査によると、40代以上の管理職層の約63.8%が「部下や後輩からの業務報告チャットで、文頭に『ありがとうございました』とだけ書かれていると、どこか他人行儀で冷たさを覚える」と回答しています。
SNSやビジネス掲示板(知恵袋・オープンチャット)でも、以下のようなリアルな悩みが頻繁に投稿されています。
「商談が終わった日の夕方に『本日はお時間をいただきありがとうございました』と送ったところ、先輩から『これからも提案を続けるなら現在形にしなさい』と厳しく指摘された」(20代・営業職)
「取引先の担当者からプロジェクトの途中で突然『これまでご協力ありがとうございました』と過去形でメールが届き、契約を切られるのかと血の気が引いた」(30代・ITディレクター)
一方で、接客業界の現場観察からは別の側面も見えてきます。百貨店や高級ホテルの接客現場では、会計終了時や見送りの一瞬に「ありがとうございました」と明確に発音することで、顧客に対して「大切なお取引を無事に完了させた」という安心感とケジメを提供しています。つまり、相手との関係が「その場で完結する取引関係」なのか、「未来へ続いていく協業関係」なのかによって、受け手が心地よいと感じる表現は明確に分かれているのです。