「恐竜はいったい何種類いたのか」という疑問に対し、古生物学界の公式データベースや学会報告が示す回答は、一般の想像をはるかに上回ります。命名規約上有効とされる恐竜の属数は約1100属、種数にして1200種以上が記載されています。さらに未発見の種や化石として残らなかった個体を含めれば、中生代に繁栄した恐竜の総数は数万種に及んでいたと推計されています。
これほど多種多様な恐竜の種類一覧を体系的に理解するうえで、最も根本となる指標が恐竜の分類方法です。1887年に英国の古生物学者ハリー・ゴーヴィエ・シーリーが提唱して以来、骨盤(腰の骨)の向きによって大きく2つの系統に分けられてきました。
ひとつは、恥骨が前方を向くトカゲに似た骨盤を持つ「竜盤類(りゅうばんるい)」。もうひとつは、恥骨が後方を向く鳥類に似た骨盤を持つ「鳥盤類(ちょうばんるい)」です。皮肉なことに、進化の歴史において現代の鳥類へと枝分かれしたのは、鳥盤類ではなく竜盤類の獣脚類グループでした。
それぞれの系統は、食性や生活環境に応じて極めて明確な分岐を遂げています。
竜盤類は、二足歩行で獲物を追うティラノサウルスなどの「獣脚類(じゅうきゃくるい)」と、長い首と巨大な胴体を持つブラキオサウルスなどの「竜脚形類(りゅうきゃくけいるい)」に大別されます。一方の鳥盤類は、トリケラトプスに代表される「周飾頭類(しゅうしょくとうるい)」、ステゴサウルスやアンキロサウルスなどの「装盾類(そうじゅんるい)」、そしてパラサウロロフスなどの「鳥脚類(ちょうきゃくるい)」という、極めて個性的な草食グループへと枝分かれしていきました。