「ABCお笑いグランプリ」が賞レースファンから神聖視される大きな要因が、その研ぎ澄まされた審査システムとスリリングな得点争いです。現行ルールでは、ファーストラウンドを3ブロック(各4組)に分け、各ブロックを1位通過した3組のみがファイナルステージへ進出する熾烈なノックアウト方式が採用されています。
審査員席には、上方演芸界を背負う重鎮から、M-1グランプリやキングオブコントを制覇したトップランナー(陣内智則、兵動大樹、小籔千豊、矢野・兵動、アンガールズ田中卓志、かまいたち山内健司、マヂカルラブリー野田クリスタルなど)がずらりと並びます。彼らが下す審査員の評価は、単に「ウケた量」だけを測るものではありません。
歴代の決勝順位と得点詳細を検証すると、勝敗を分ける決定的な要素が浮かび上がってきます。
たとえば2020年大会では、コウテイが放つ予測不能なナンセンスコントが会場を熱狂の渦に巻き込み、審査員合計666点で優勝を勝ち取りました。一方で正統派漫才で挑んだオズワルドが僅差で涙を呑み、翌2021年にその悔しさをバネに675点の高得点を叩き出して雪辱を果たすというドラマが生まれました。
審査員陣が当時の講評で「ネタの構成力は互角。だが、4分間という制限時間の中で審査員の感情を揺さぶり、場の空気を支配しきった爆発力で差がついた」と述懐している通り、関西独特のテンポ感と全国流通する論理性のせめぎ合いが、1点刻みの判定に如実に反映されているのです。