インターネット上では「特殊技能を要するため年収1,000万円超の富裕層」といった根拠のない憶測が散見されます。しかし、葬儀業界および関係者への取材データから導き出される実態は、そうした甘い幻想を打ち砕くものです。
一般的な葬儀業界の平均年収が約350万〜450万円で推移する中、国際霊柩送還士の平均年収はおよそ380万〜550万円が実質的な相場です。役職者や国際業務経験の長いベテラン、卓越した技術を持つチーフエンバーマーであれば600万〜750万円前後に達する事例も確認されていますが、業務の過酷さと精神的負荷を考慮すると、報酬水準は決して不当に高いものではありません。
この処遇の背景には、24時間365日いつ発生するかわからない海外からの緊急出動要請、昼夜逆転する現地時差との交渉、感染症罹患リスク、さらには事故現場や紛争地域由来の過酷な遺体と日常的に向き合わなければならない労働環境があります。高給を目当てに飛び込んでも、最初の数か月で離脱するケースが後を絶たない理由がここにあります。