物語を途中から読んだ読者の中には忘れがちになっている人もいますが、ボボボーボ・ボーボボにおけるところ天の助の初登場は、毛狩り隊Aブロック隊長という冷酷無比な大幹部でした。人類の髪の毛を奪い去るマルハーゲ帝国の精鋭部隊を率い、巨大アミューズメントパーク「あかねランド」を拠点にボーボボ一行を迎え撃った強敵だったのです。
当時の天の助は、部下を冷淡に切り捨て、侵入者を巨大観覧車やジェットコースターの罠に陥れる冷徹な支配者として描かれていました。しかし、ボーボボとの鼻毛真拳バトルを通じてその威厳は完全に崩壊します。敗北を喫した後は組織を追われ、気づけばボーボボ一行のパーティーに半ば強制的に同行させられるポジションへ転落していきました。
この転落劇に説得力と独特のペーソスを与えているのが、彼の元ネタ由来とも言える「スーパーの特売品」としてのトラウマ設定です。彼自身がところてんであるがゆえに、過去にスーパーマーケットの惣菜コーナーで「10円」の値引きシールを貼られ、誰にも買われずにワゴンの中で売れ残り続けたという暗黒の記憶を抱えています。この「誰からも選ばれない、賞味期限間近の加工食品」という実存的な悲哀が、傲慢な隊長時代との強烈なギャップを生み出し、読者の保護欲と笑いを同時に刺激する構造になっています。