ネット上の情報では「黒い点はすべてタンニンだから心配ない」という極端な言説が散見されますが、これは半分正しく、半分は危険な誤認をはらんでいます。プロの検品現場が見落とさない真のリスクポイントは、果肉の真ん中ではなく「ヘタ(宿根)と果肉の隙間」にあります。
この部分は「ヘタすき(果頂裂果・ヘタ隙症)」と呼ばれ、肥大成長の過程でヘタと果肉の結合部に微細な隙間が生じる生理障害です。この隙間は湿気がこもりやすく、灰色かび病菌やペニシリウム属(青カビ)の温床になりがちです。外見からは正常に見えても、ヘタを指で持ち上げたときに奥深くに黒い粉状の胞子や白い菌糸が付着している場合は、毒素が内部組織へ浸透している可能性があるため注意を要します。
また、追熟しすぎて果肉全体がドロドロに溶け出している状態(軟熟柿)も注意深い観察が必要です。単なる完熟成によるゼリー化であれば芳醇な香気を放ちますが、ツンとした酢酸臭や鼻をつく発酵臭が混ざっている場合は、内部腐敗菌が活動しています。「甘みによる黒変」と「腐敗による組織壊死」を混同しない冷静なチェックが欠かせません。