「なぜこれほど整ったメートル法の単位であるアールが、一般的なマンションや宅地のチラシに一切登場しないのか?」と疑問を抱く方もいるはずです。そこには日本の法規制と不動産業界の厳格な表示ルールが存在します。
日本の計量法第8条では、商取引における計量単位としてメートル法(法定計量単位)の使用が義務付けられており、尺貫法である「坪」を公式な契約書面上で単独表示することは禁止されています。さらに、不動産業界の自主規制基準である「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」において、土地や建物の面積は「平方メートル(㎡)」で表示することが原則と定められています。
アールやヘクタールは計量法上認められた単位であるものの、宅地建物取引においては一般消費者の誤解を防ぐ観点から「㎡」への統一が徹底されています。例外的にアールやヘクタールが使用されるのは、広大な面積を扱う「農業振興地域の農地」「保安林・山林の売買」「大規模開発用地の公的統計」などに限定されているのが実情です。
そのため、宅地を探す際は「㎡」と「坪」、農地や山林を扱う際は「a」「ha」「反」を使い分けるという複眼的な視点が不可欠となります。