新宿の中古市場を歩く多くの愛好家が口を揃えるのが、「数年前に比べて相場が大幅に上がった」という実感です。中古カメラの価格高騰の理由には、単なる一時的な流行にとどまらない複数の構造的要因が絡み合っています。
第一の要因は、世界的なフィルム写真の再評価です。デジタルネイティブ世代にとって、フィルム特有の粒子感や偶発的な光線漏れ、現像を待つ時間そのものが「代替不可能な体験価値」として受容されています。しかし、主要メーカーがフィルムカメラの新規生産から撤退して久しく、市場に現存する実用機の総数は減少し続けています。
第二の要因は、修理技術者の高齢化とメンテナンスコストの上昇です。オールドカメラを正常に動作させるには専門的なオーバーホールが必要ですが、熟練の職人は年々減少しています。ショップ側も仕入れ後に専門業者で整備を行うため、その整備費用が販売価格に反映される構造になっています。
特にレンジファインダーの新宿における中古相場は、ライカM型を中心に顕著な上昇を見せています。実用可能な「Leica M3」や「Leica M6」は、2020年頃の相場と比較して1.5倍から2倍近くまで評価額が引き上げられており、資産価値としての側面も帯びるようになりました。