なぜ信長は名香「蘭奢待」を欲した?最新研究で判明した香りと切痕の真相

なぜ信長は名香「蘭奢待」を欲した?最新研究で判明した香りと切痕の真相

なぜ信長は名香「蘭奢待」を欲した?最新研究で判明した香りと切痕の真相に関する気になる情報をわかりやすくまとめました。詳細を読もうことができます。

香木に付された付箋には、歴史を動かした巨頭たちの名が並ぶ。室町幕府の8代将軍・足利義政、戦国の覇王・織田信長、そして明治維新を牽引した明治天皇。彼らにとってこの香を切り取る行為は、単なる趣味嗜好を超えた「天下掌握の宣言」にほかならなかった。

1574年、上洛を果たした信長は、朝廷に圧力をかけて正倉院の開封を勅許させた。東大寺東南院に運ばれた香木から、信長はわずか一寸(約3センチ)四方を切り取らせたという。その一部は時の天皇に献上され、残りは茶人・千利休らに下賜された。自らが武家の棟梁たる足利将軍家と同格、あるいはそれを凌駕する存在であることを世に知らしめるための冷徹な政治的演出。香りという不可視の存在が、可視化された権力そのものへと昇華した瞬間である。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。