「胃に優しそう」「夜に飲んでも眠れなくならなそう」という理由でアメリカンコーヒーを選ぶ人は少なくありません。しかし、ここにも珈琲愛好家を驚かせる科学の真実が隠されています。アメリカンコーヒーのカフェイン量の真相を検証すると、実は一般的な深煎りブレンドよりもカフェイン量が多くなる傾向が判明しています。
焙煎化学の視点からドリップ抽出と焙煎度の関係を分析すると、カフェインという有機化合物は熱に対して非常に安定した性質を持っています。200度以上の高温で長時間煎り続ける深煎りの工程を経ても、カフェインはほとんど熱分解されません。一方で、豆に含まれる水分やその他の有機成分は焙煎が進むにつれて気化・消失し、豆自体の重量は20%近く減少します。
つまり、同じ10グラムの豆をスプーンで計量した場合、水分が残って重い浅煎り豆よりも、軽くなって体積あたりの粒数が増える深煎り豆のほうが、粉の量自体は多く見えるものの、「1粒あたりのカフェイン残存率」は浅煎り豆のほうが圧倒的に高いのです。さらに、アメリカンコーヒーはマグカップなど大きめの器に多めのお湯(160〜200ml前後)を注いで抽出される傾向が強く、1杯あたりで摂取する総カフェイン量は通常のデミタスや標準ブレンド(約60〜90mg)を上回り、1杯あたり100mgを超えるケースも珍しくありません。
一方、身体に嬉しい側面として注目したいのがアメリカンコーヒーのカロリーと健康効果です。ブラックで飲む限りカロリーは1杯あたり約4〜6kcalとほぼ無視できる水準にとどまります。さらに、生豆由来の強力な抗酸化ポリフェノールである「クロロゲン酸」は熱に弱いため、焙煎時間の短い浅煎りアメリカンには深煎りの約2〜3倍ものクロロゲン酸がそのまま保持されています。アンチエイジングや血糖値の上昇抑制を狙う健康志向のユーザーにとって、浅煎りアメリカンは非常に優れた機能性飲料といえます。