ここまでメリットに焦点を当ててきたが、無条件にすべての状況で雨天洗車が推奨されるわけではない。把握しておくべき雨の日の洗車デメリットと現場の物理的制約についても、客観的なメスを入れる必要がある。
最大のデメリットは、作業者自身の身体的負荷と環境要因である。屋根のない屋外コイン洗車場では、カッパやレインブーツを着用していても作業中に濡れ、手元や足元が滑る危険が伴う。視界が悪いため、細かなピッチ・タール汚れやガラスの油膜残りに気づきにくい点も否めない。
また、コーティング施工直後の車両においては絶対的な注意が必要だ。硬化型のガラスコーティングは、施工後24時間から完全硬化まで約1カ月を要するケースがある。被膜が完全に架橋・硬化する前に酸性雨や過剰な水分に長時間晒されると、被膜の白濁や硬度低下を招く恐れがある。納車直後や再施工直後のデリケートな期間に限っては、雨天の洗車はもちろん、濡れること自体を厳禁としなければならない。
さらに、大気の状態にも左右される。春先に飛散する黄砂やPM2.5、花粉が猛威を振るっている日の降り始めの雨は、泥雨となって車体を襲う。汚れを洗い流すつもりが、大気中の粒子が濃縮された雨水をボディに浴びせ続ける結果になりかねない。雨天洗車を決行する際は、降雨レーダーや黄砂飛散予測を確認し、大気汚染物質の濃度が低いタイミングを見極める警戒心が求められる。