Google検索やSNS上で散見される「キタムラおばさんぽい噂の真相」を探ると、そこには日本独自のファッション史と世代間の認識ギャップが存在します。1970年代から80年代、フクゾーの服にミハマの靴、そしてキタムラのバッグを合わせる「ハマトラ」スタイルは、当時の女子大生や20代女性の圧倒的ステータスでした。当時熱狂した世代がいま60代〜70代を迎えているため、若い世代から見ると「自分の母親や祖母が大切に使っているブランド」という印象が固定化され、それが転じて「シニア向け=おばさんっぽい」という先入観を生み出しています。
また、欧州の高級メゾンが展開するような派手なロゴプリントやエッジの効いたモードデザインと異なり、キタムラは徹底して「清楚で品のある良妻賢母スタイル」を守り続けてきました。この保守的とも言える普遍的なデザインが、ファストファッションや目まぐるしいトレンドに慣れた層からは「無難すぎる」「時代が止まっている」と映ってしまう構造があります。
しかし、アパレル産業の動向を取材する専門家の間では、この評価は180度覆されます。流行を追うバッグは数年で陳腐化し廃棄されますが、キタムラが追求してきたのは「良質な素材を丁寧に縫製し、10年単位で付き合える実用美」です。年齢を重ねて過剰なブランドアピールから解放され、「本質的な使い心地と清潔感」を重視するようになった60代の美意識と、キタムラのクラフトマンシップが見事な一致を見せているのが実態です。