「骨や筋肉ではなく、皮膚のすぐ下にパチンコ玉のような丸い異物があり、押すと痛む」というケースでは、皮膚軟部組織のトラブルが考えられます。眉毛の生え際は皮脂腺と毛嚢が密集しているため、皮下腫瘍や感染症が発生しやすい環境にあります。
代表格が眉毛の粉瘤・毛嚢炎です。粉瘤(アテローム)は、毛穴の一部が皮膚の内側に袋状の構造を作り、そこに角質や皮脂が溜まる良性腫瘍です。通常は無痛ですが、皮膚常在菌が侵入して二次感染を起こすと「炎症性粉瘤」へと化膿し、赤く腫れ上がって指で触れるだけで激しい拍動痛を伴います。一方、毛嚢炎は毛根を包む毛包に細菌が感染してできる小さな吹き出物で、ニキビに類似した痛痒さを特徴とします。
ネット上の情報やSNSでは「眉間の角栓やしこりを指で強く押し出して潰した」という体験談が散見されますが、これは医学的に極めて危険な行為です。眉毛から鼻梁にかけてのエリアは「危険三角(デンジャラス・トライアングル)」と呼ばれ、顔面の静脈血が脳内の海綿静脈洞へと直接連絡しています。無理な圧迫で細菌が血管内に入り込むと、重篤な頭蓋内感染症を引き起こすリスクがあるため、自己判断での切開や強い圧迫排出は絶対に避けなければなりません。