「噛まれたら激痛に襲われるのは一体どっちなのか?」というネット上でも頻出の疑問に対し、結論から言えば直接的な噛みつき被害と激痛を引き起こすのは100%ムカデです。しかし、だからといってヤスデが無害というわけではありません。両者が持つ「毒の作用機序」を正しく把握しておく必要があります。
まず警戒すべきは、ムカデの毒性と危険度の真相です。ムカデの頭部下側にある「顎肢(がくし)」と呼ばれる鋭い毒牙には、セロトニン、ヒスタミン、溶血タンパク質、ポリペプチドなどの混合毒が蓄えられています。噛まれた瞬間、焼けた針で刺されたような激痛が走り、患部は広範囲に赤く腫れ上がります。重症化するとリンパ節炎や発熱、極稀にスズメバチ同様のアナフィラキシーショック(呼吸困難や血圧低下)を引き起こし、生命の危機に瀕することもあります。
一方、ヤスデには人間を咬むような毒牙や口器の力はありません。その代わり、命の危機を感じると胴体の側面にある臭腺から刺激性の液体を分泌します。これがヤスデの臭い体液と人体への影響の実態です。この分泌液には、シアン化水素(青酸系化合物)、キノン類、フェノールなどの有毒成分が含まれています。素手で触れると独特の青臭い刺激臭が皮膚にこびりつき、水ぶくれやアレルギー性の接触皮膚炎を引き起こします。特に危険なのが、体液が付着した手で目をこすった場合です。結膜炎や角膜潰瘍を引き起こし、視力障害を招いた臨床報告も存在するため、素手で触る行為や室内で叩き潰す対応は厳禁です。