処分費用を浮かせたい一心で検索すると必ず目にするのが、「ホットカーペットを万能バサミなどで30cm角に裁断し、可燃ゴミや不燃ゴミとして出す」という電気カーペット切断解体の手法です。多くの自治体では「一辺が30cm〜50cm以上のものは粗大ゴミ」と定めているため、それ以下のサイズに小さくすれば一般ゴミの指定袋に入るという理屈に基づいています。
しかし、取材現場や安全工学の知見から検証すると、この解体作業には極めて高い電熱線切断の危険性が伴います。ホットカーペットの内部には、全体を均一に温めるための頑丈な発熱線(金属導線やヒーター線)や温度センサー、絶縁材、ガラス繊維などが網の目状に張り巡らされています。一般的な家庭用ハサミはもちろん、安価な万能バサミであっても金属線を何十箇所も連続して切り進める作業は容易ではありません。
作業中に刃が欠けて破片が目に飛び散る事故や、力を入れすぎて金属の切断面で手のひらを深く切ってしまう怪我のトラブルが後を絶ちません。さらに、内部のフェルト層や基布を切る際に目に見えない微細な繊維粉塵が部屋中に舞い上がり、吸い込んで激しい咳き込みやアレルギー反応を引き起こす住居環境リスクも無視できません。
自治体の回収ルールという観点からも大きな問題が存在します。多くの自治体清掃課では「解体・切断しても、元の製品形状で粗大ゴミと判断する」という規定を設けています。小さく切って家庭ゴミ袋に詰めて排出したとしても、収集作業員が袋の外から金属線や電熱回路の混入を確認した時点で「不適正排出」として収集シールが貼られ、そのまま取り残されるケースが多発しています。数百円の手数料を惜しんだ結果、部屋を汚し、身体を危険にさらし、最終的に粗大ゴミとして出し直す羽目になるのでは本末転倒と言わざるを得ません。