身をほじり終えた後の殻をそのままゴミ箱に捨てるのは、毛ガニの価値の半分を捨てているようなものです。カニの殻にはキチン質やアミノ酸が豊富に含まれており、極上のスープストックになります。
プロが実践する毛ガニの殻を使った味噌汁の出汁の取り方は、殻を水に入れる前の「ひと手間」にあります。食べ終えた殻(脚・甲羅・肩肉の殻)をクッキングシートに並べ、180℃のオーブントースターで約5〜7分、表面がきつね色になるまで軽くローストします。この加熱によって甲殻類特有の生臭さが揮発し、ピラジンと呼ばれる芳醇な香ばしさが凝縮されます。
ローストした殻を水と昆布を入れた鍋に投入し、沸騰したらアクを丁寧に取り除きながら弱火で15〜20分コトコト煮出します。殻をザルで濾して普段通りの味噌を溶き、刻んだ青ネギや豆腐を入れるだけで、料亭の「鉄砲汁」を凌駕する深いコクの味噌汁が完成します。