飴の解禁を遅らせるべき理由は、窒息の物理的リスクだけに留まりません。小児歯科医の立場からも、飴は乳幼児にとって「極めて虫歯になりやすい最悪の菓子」と位置づけられています。
虫歯が発生する主な要因は、口の中に糖分が存在する「時間の長さ」です。クッキーやチョコレートは比較的短時間で噛み砕かれて胃へ送り込まれますが、飴は口の中に10分〜15分以上も高濃度の砂糖水が滞留する状態を作り出します。
乳歯のエナメル質は永久歯に比べて厚みが半分程度しかなく、酸に対して極めて脆弱です。唾液には酸を中和する自浄作用がありますが、飴を舐め続けている間はその防御機能が完全に麻痺します。日頃から飴を習慣的に与えられている幼児は、歯と歯の間や奥歯の溝に急速に重度の虫歯(多発性う蝕)を発症する確率が跳ね上がります。
どうしても外出時のご褒美やぐずり止めとして甘味を活用したい場合は、砂糖を一切含まないキシリトール100%配合のタブレットや、緑茶ポリフェノール(ミュータンス菌の活動を抑える成分)が含まれた幼児専用菓子を選択することが、子どもの歯の健康を守る賢明な手段です。