音楽に対してどちらの漢字を使うべきかという疑問に対する結論は、「音に対して能動的に注意を向けているかどうか」という点にあります。自らの意志で音に耳を傾けている場合は「聴く」、意識せずとも音波が耳に届いている状態であれば「聞く」を選択するのが日本語の意味として正確です。
漢字の成り立ちを見ると、その違いはさらに明瞭になります。「聞」は門構えの中に「耳」があり、門の中に立って外の物音を自然に受け止める様子を表しています。一方で「聴」の旧字体(聽)には「耳」「目」「心」が含まれており、目と心を開いて相手や対象に集中し、真摯に受け止める姿勢を示しています。
例えば、大好きなアーティストの新曲をイヤホンでじっくり味わう行為は「音楽を聴く」となります。一方で、カフェやスーパーで流れているメロディが耳に入ってくるようなシチュエーションでは「音楽が聞こえる」「音楽を聞く」と表現するのが適しています。