遺伝子レベルで薬剤耐性を身につけたスーパートコジラミであっても、生物である以上、物理的な「熱」には絶対に耐えられません。成虫・幼虫はもちろん、いかなる化学殺虫剤も効かない「卵」をも確実に不活化できる唯一無二の手段が熱処理です。
自治体の衛生研究所や学術機関の実証試験によって判明している乾燥機熱処理トコジラミ致死温度の基準値は極めて明快です。トコジラミはタンパク質の熱変性により、50℃の環境であれば約30分、60℃以上であればわずか数分から数十秒、100℃近い熱湯や蒸気であれば瞬時に全滅します。自力駆除において最も確実性が高いのは、この熱エネルギーを生活空間へ的確に送り込む手法です。
具体的なトコジラミ熱湯スチーム対策の実践において欠かせないのが、家庭用スチームクリーナーとコインランドリーの大型ガス乾燥機です。
衣類、シーツ、カーテン、枕カバーなどの布製品は、部屋から運び出す際に周囲へ虫を落とさないよう、その場で厚手の大型ゴミ袋(45L〜70L)に入れて固く密閉します。そのままコインランドリーへ持ち込み、高温設定(通常70℃〜80℃に達する大型ガス乾燥機)で40分以上回転させます。家庭用の電気式洗濯乾燥機は温度上昇が緩やかで内部温度にムラが生じやすいため、短時間で芯まで70℃以上に達する業務用のガス乾燥機を利用することが完全死滅への近道です。
一方、乾燥機に入れられないマットレス、ベッドフレーム、ソファー、カーペット、床の幅木などの隙間には、高温のスチームクリーナーを用います。噴出口から出る蒸気は外気に触れると急速に温度が下がるため、ノズルを対象物にほぼ密着させ、1箇所につき10〜15秒ほど時間をかけて極めてゆっくりとスチームを滑らせることが成否を分けます。木材の継ぎ目やコンセント周辺の壁の隙間へじっくり熱を行き渡らせることで、奥深くに産み付けられた卵まで完全に凝固・壊滅させることが可能です。