なぜ平取町は長年愛された愛称を改め、全面建替えに踏み切ったのでしょうか。ほっとぽいんとびら リニューアル経緯を掘り下げると、地方自治体が直面する温泉インフラの維持限界と、観光価値の再定義という構造的課題が見えてきます。
旧「ほっとぽいんとびら」は1989年に開業し、町民の日常的な公衆浴場およびドライブ途中の休憩基地として大きな役割を果たしてきました。しかし築20年を超えた段階で給湯配管の腐食やバリアフリー非対応、耐震性の不安が浮上。単なる修繕では将来的な維持費が膨らむと判断した平取町は、2014年に総事業費を投じたリニューアルを断行しました。
施設名称の「ゆから」は、アイヌ語で「叙事詩」を意味する「ユカラ」に由来します。アイヌ文化の聖地・二風谷(にぶたに)を擁する平取町のアイデンティティを宿し、木の温もりを基調とした洗練された北欧風デザインが採用されました。かつての素朴な公営浴場から、地域の歴史と食文化を五感で堪能できる滞在型ウェルネス空間へと脱皮を遂げたのです。