進路指導の現場で最も多くの受験生と保護者が陥るのが、「模試の種類」と「受験ステージ」による偏差値の錯覚です。高校受験で偏差値60を取っていた生徒が、高校進学後の大学受験模試で偏差値45〜50へ急落し、激しいショックを受ける現象は後を絶ちません。
まず押さえるべきは、偏差値60 高校受験難易度と大学受験における母集団の違いです。高校受験には中学校のほぼ全生徒(進学を希望しない層や低学力層を含む約98%)が参加します。そのため、公立高校入試における偏差値60は「地域の中学校で上位16%」を意味し、いわゆる地域トップ校に次ぐ準進学校クラスに位置します。
しかし大学受験では、専門学校進学や就職を選ぶ層が抜け落ち、もともと学力の高い上位約55〜60%の高校生・浪人生だけで母集団が形成されます。結果として、「大学受験の偏差値=高校受験の偏差値マイナス10〜15」という地滑り的な難化の法則が成立します。高校受験の感覚で「偏差値60だからMARCHは余裕」と考えていると、手痛い現実を突きつけられることになります。
大手予備校の難易度比較において、偏差値60 河合塾駿台比較を行うと、その乖離は歴然です。超進学校の生徒や難関大志望の浪人生が集う「駿台全国模試」において偏差値60をマークした場合、河合塾の全統模試に換算すれば偏差値66〜68前後に跳ね上がります。つまり、駿台での60は早慶上智や旧帝大(東北大・名古屋大・九州大など)が現実的に射程へ入るエリートクラスを指します。