全国の果樹園を取材すると、一般消費者のイメージと流通現場の実態との間にある大きなズレに気付かされます。農林水産省がまとめた「作況調査(果樹)」の最新データによると、日本全国の和梨年間収穫量は約18万〜20万トン規模で推移しています。その中で梨生産量日本一の座を維持し続けているのは、鳥取県ではなく千葉県です。
千葉県の年間収穫量は全国シェアの約12〜13%を占め、2位の茨城県、3位の栃木県とともに関東勢が梨の生産地トップ3を独占しています。さらに4位には盆地の気候を活かした福島県が続き、名実ともに全国区の知名度を誇る鳥取県は、収穫量ベースで見ると全国5位(シェア約6〜7%)前後に位置しているのが現実のデータです。
取材に応じた市場関係者は次のように内情を明かします。「卸売市場の取扱量ベースで見れば、関東の市場を支えているのは圧倒的に千葉や茨城の梨です。鳥取の二十世紀梨は贈答品や地域ブランドとしての存在感が抜群ですが、日常的な流通量という観点では東日本の産地が市場の大半を牽引しています」。この収穫量ランキングの実態こそが、多くの人が抱く「梨=鳥取」というイメージの裏に隠された最大の真相です。