派遣社員と契約社員を分ける最大の境界線は、直接雇用と間接雇用の違いにあります。この構造を正確に捉えなければ、現場で不当な扱いを受けた際に誰と交渉すべきかすら見失うことになります。
契約社員は、実際に勤務する企業と直接に有期雇用契約を結ぶ直接雇用です。そのため、指揮命令関係と雇用主の違いにおいて「雇用主=指揮命令者」という一本化された構図が成り立ちます。業務上の指示を出す上司が所属する企業そのものが給与を支払い、福利厚生や社会保険の適用母体となります。会社の一員としての帰属意識が生まれやすい反面、残業代の未払い不当な契約打ち切りといったトラブルが発生した場合、労働者本人が勤務先の経営陣や人事部と直接対峙しなければなりません。
一方の派遣社員は、人材派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、まったく別の企業(派遣先)に赴いてその指揮命令下で就業する間接雇用の形態をとります。指揮命令権は派遣先企業の上司にありますが、給与の支払いや社会保険の加入、有給休暇の付与を行うのは派遣会社です。この二重構造は、業務範囲を限定した「ジョブ型」に近い働き方を可能にする反面、派遣先にとっては自社の社員ではないため、業務の切り出しが容易な調整弁として扱われやすい冷徹な側面を持ち合わせています。