背中の帯状疱疹は、一度皮膚症状が出現すると極めてスピーディーにその表情を変えていきます。臨床現場の経過観察データに基づき、発症から完治に至るまでの病期推移を時系列で整理しました。
【第1期:前駆期(1〜5日目)】
皮膚にはまだ明らかな異常が見られず、背中の皮膚表面が過敏になり、服が擦れるだけでヒリヒリ・ピリピリします。人によっては肩こりや神経痛、肋間神経痛のような鈍痛を感じ、軽度の倦怠感や微熱を伴うこともあります。
【第2期:皮疹・水疱出現期(皮疹出現後1〜3日目)】
神経痛があった背中の片側に、鮮やかな赤い斑点(紅斑)が帯状に出現。半日〜1日ほどでその赤みの上に、中央がくぼんだ小さな水ぶくれ(小水疱)がブドウの房のように群発します。水ぶくれの中にはウイルスを大量に含んだ透明な液体が詰まっています。
【第3期:病勢ピーク期(皮疹出現後3〜7日目)】
発疹の広がりと激痛は、皮疹出現からおよそ5日目前後に最大のピークを迎えます。透明だった水ぶくれの内容液は次第に黄色く濁って膿疱(のうほう)となり、隣り合う水疱同士が融合して大きな水ぶくれに発達します。水疱が擦れて破れると、皮膚がめくれて赤くジュクジュクした「びらん面(ただれ)」を形成し、服の着脱すら涙が出るほどの激痛を伴います。
【第4期:痂皮化・治りかけ期(皮疹出現後1〜2週間)】
水ぶくれが乾燥し始め、黒褐色のかさぶた(痂皮:かひ)へと変化していきます。ジュクジュクしたただれが完全に乾き、かさぶたで覆われれば、病変部からのウイルス感染リスクはほぼ消失します。
【第5期:落屑・瘢痕治癒期(発症後3〜4週間以降)】
かさぶたが自然に剥がれ落ち、新しいピンク色の皮膚が再生します。ただし、重症化して水ぶくれが深部に達していた場合は、茶色い色素沈着やクレーター状の瘢痕(キズ跡)が残ることも少なくありません。皮膚の治癒と同時に神経の痛みも引いていくのが正常な経過ですが、この痛みが遷延する場合は次の深刻なフェーズを疑う必要があります。