国内外で親しまれてきた日の丸だが、法的な位置付けという観点では、極めて特異な歴史を辿っている。明治維新から昭和、平成半ばに至るまでの約130年間にわたり、実は日の丸を直接規定する「国旗法」は存在しなかった。
明治政府は1870年の太政官布告で商船や公船の旗として定めたものの、国家そのものの恒久的な基本法として制定したわけではなかった。つまり、日の丸は長らく法的根拠のないまま国民的合意のもとで事実上の国旗(デ・ファクト)として扱われ続けてきたのである。
この状況に終止符が打たれたのが、1999年(平成11年)8月のことだ。教育現場での掲揚を巡る対立や国際儀礼上の観点から法制化の機運が高まり、当時の小渕恵三内閣のもとで「国旗及び国歌に関する法律(国旗国歌法)」が成立・公布された。わずか本文2条と附則からなる極めてシンプルな法律だが、これにより「日章旗が日本の国旗である」ことが初めて明文化され、長きにわたる法的空白に明確なピリオドが打たれた。