ハマカーンはなぜ売れないのか?実力派コンビの不仲説と現在の真実

ハマカーンはなぜ売れないのか?実力派コンビの不仲説と現在の真実

ハマカーンはなぜ売れないのか?実力派コンビの不仲説と現在の真実とはどんな影響があるのか? 背景や要点を整理してお届けします。

ハマカーンの知名度を一気に押し広げると同時に、彼らのパブリックイメージを強固に縛り付けてしまったのが、神田伸一郎に対する神田うのの弟という記号化でした。セレブリティとして芸能界の頂点に君臨していた実姉の存在は、新人時代には絶大なフックとなったものの、賞レースを制覇したプロの漫才師にとっては呪縛へと転化していきました。

テレビ局側は神田に対し、「セレブな姉への嫉妬」「姉の金銭感覚を暴露する不遇な弟」という予定調和のアングルばかりを執拗に要求しました。当時のインタビューや手記で神田自身が語っていたように、「漫才で日本一になっても、現場に行けば『うのちゃん最近どう?』としか聞かれない」という現実は、純粋にお笑いを追求してきた表現者の自尊心を深く傷つけることになります。心理学でいう「アイデンティティの剥奪」に近い状態に陥り、バラエティ番組での振る舞いに強い抵抗感を抱くようになったのは自然な帰結でした。

一方、相方のハマカーン 浜谷健司は、バラエティへの順応を模索する中で「下衆の極み!」「女子の皆さん、男子の言い分も聞いてやってください!」といった絶叫フレーズを確立し、単独での露出を増やしていきました。ネット上では時折、アンタッチャブル山崎弘也の下衆ヤバ夫 ネタなどと同系統のコミカルなキャラクターとして混同される現象も起きましたが、浜谷の放つフレーズは本質的に「世間の理不尽への義憤」から出たものであり、悪意ある下品さとは一線を画すものでした。

しかし、2016年に世間を揺るがしたロックバンドに端を発する一連の騒動以降、「ゲスの極み」という言葉そのものが情報番組やゴールデン帯で使いにくい空気が醸成され、浜谷の代名詞的ギャグもメディア露出の武器として制約を受けるという、不運な外的要因も重なることになりました。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。