油屋で湯婆婆の弟子として働き、冷徹な側近としての顔と、千尋を守る温かい素顔を使い分けるハク。彼の真の正体は、かつて千尋が住んでいた家の近くを流れていた「コハク川」を司る水神である。本名はハク(ニギハヤミコハクヌシ)——漢字では「饒速水琥珀主」と表記される。川の神としての高い神格を持ちながら、なぜ彼は神々の世界で魔女の支配下に置かれていたのだろうか。
その背景にあるのは、人間界の身勝手な都市開発だ。コハク川が埋め立てられ、マンションが立ち並んだことで、住み処と存在の拠点を失った彼は行くあてをなくし、魔法を学ぶために湯婆婆のもとへと辿り着いた。名を奪われ、己の過去すら忘却していたハクだったが、幼い頃にその川に落ちた千尋の記憶と「コハク川」という言葉によって、奇跡的に自らの真名を取り戻すこととなる。