玉川奈々福の最大の魅力は、その特異なバックボーンと卓越した物語表現力にあります。上智大学文学部を卒業後、出版社で編集者として書籍制作に携わっていた彼女は、30歳を目前にして浪曲の世界と出会い、1995年に二代目玉川福太郎に曲師(三味線弾き)として入門しました。編集者として培った「物語を構成し、読者に届ける客観的な視点」が、後の演者としての活動に決定的な影響を与えることになります。
2001年には浪曲師としても初舞台を踏み、語り手と三味線弾きの双方を高いレベルでこなす稀有な存在として頭角を現しました。古典演目『天保水滸伝』などの継承はもちろんのこと、シェイクスピアやサロメ、古典落語などを題材にしたオリジナル新作浪曲を次々に発表。2018年には文化庁芸術祭大衆芸能部門優秀賞を受賞し、文化庁文化交流使として海外公演も成功させるなど、浪曲界のフロントランナーとしての地位を確立しました。