なぜ人間は、窮地に陥った際にあらゆる助けを拒み、閉じた世界へと閉じこもってしまうのか。犯罪心理学の研究によると、強い心理的プレッシャーや絶望感に長期間晒された人間は、「トンネル視線」と呼ばれる視野狭窄に陥り、支援制度や相談窓口の存在すら認識できなくなるという。
「他人に迷惑をかけてはならない」「自分で責任を取るべきだ」という強い規範意識も、SOSを出す足を鈍らせる。加害行為とも言える無理心中においても、当事者の中では「守るための選択」と歪んで認知されているケースが少なくない。心理的孤立のメカニズムを理解し、当事者が追い詰められる前に第三者が介入できる仕掛けを作ることが不可欠だ。