今でこそ実力派俳優として確固たる地位を築く向井だが、撮影当時は楽譜を読むことすらままならない状態からのスタートだったという。チェリストという専門性の高い役を演じるにあたり、クランクイン前から過酷な楽器特訓が課せられた。
指のポジションや弓の持ち方、奏者特有の体幹の揺らし方に至るまで、プロの音楽家から徹底的な指導を受けた。指先にタコを作りながら連日練習に没頭した泥臭い努力があったからこそ、あの優雅でリアルな演奏シーンが生まれたのだ。スクリーンに映る華やかさの裏には、新進気鋭の役者としての並々ならぬ執念と覚悟が秘められていた。