ナポリを代表するマンマの味でありながら、なぜ遠く離れた北部の都市「ジェノヴァ」の名を冠しているのか。その起源にはいくつかの有力な歴史的背景が存在します。
最も広く知られているのは、15世紀のアラゴン王朝時代、貿易港として栄えたナポリの港湾エリアに滞在していたジェノヴァ人商人や船乗りたちの存在です。彼らがナポリの宿屋街で玉ねぎと肉を煮込んだ料理を作っていたことから、ナポリ市民が親しみを込めて「ジェノヴァ風のソース」と呼び始めたという説です。
また、当時のナポリで人気を博していた実力派シェフの愛称や苗字が「Il Genovese(ジェノヴァ人)」だったことに由来するという説も伝わっています。いずれにしても数百年もの時を経て、ナポリの日曜日の家庭料理(pranzo della domenica)の主役に定着し、ナポリ人のアイデンティティとも言える特別なご馳走へと昇華しました。